田舎に暮らしている両親。ネットを使ってくれれば連絡が便利なのに、実家にはネット環境がない、ということもあるのではないでしょうか。
・実家には固定電話しかなくてネット環境がない
・親は携帯を使っているが、メールは使っていない
・自分がネット導入の費用を出しても良いが、できれば安く抑えたい
そういう場合におすすめなのが、格安SIMで使えるSIMフリーのホームルーターです。今回は、SIMフリーのホームルーターのメリットと、ホームルーターにおすすめの格安SIMを紹介していきます。
親にネットの使い方を覚えてもらいたい、ボケ防止にタブレットやPCを使わせたい、メールやビデオ通話で親とコミニケーションしたいという人は、ぜひ参考にしてください。
SIMフリーのホームルーターとは?
まずは、SIMフリーのホームルーターがどのようなものか見ていきます。
SIMフリーのホームルーターは、格安SIMを装着してLTE通信ができる据え置き型のWi-Fiルーター。PCやタブレット、スマホなどのWi-Fi機器を接続し、ネットにつなげることができます。
わかりやすくいえば、モバイルWi-Fiルーター(モバイルルーター)が据え置き型に変化したもの。あえて、モバイルルーターを持ち運べなくしたことで、バッテリーを充電する手間をなくしたものといえます。
SIMフリーのホームルーターは、最近登場したジャンルで製品はまだ多くありません。具体的な製品としては、NECの「Aterm HT100LN」が挙げられます。価格は12,000円前後です。
各キャリアの LTE主要周波数帯 | バンド1 (2.0GHz) | バンド3 (1.7GHz) | バンド8 (900MHz) | バンド18/26 (800MHz) | バンド19 (800MHz) |
---|---|---|---|---|---|
ドコモ | ◎ | ◯ | ― | ― | ◯ |
ソフトバンク | ◎ | ◯ | ◯ | ― | ― |
au | ◎ | ― | ― | ◎ | ― |
Aterm HT100LN | ◯ | × | × | ◯ | ◯ |
なお、Aterm HT100LNが対応するLTEの周波数帯は、バンド1、19、26です。2GHz帯に対応しているため、ドコモ・au・ソフトバンク回線のどれでも使えますが、プラチナバンドはドコモ・au回線にしか対応していません。そのため、ソフトバンク回線の格安SIMの場合、場所によってはつながりにくい可能性があることには注意が必要です。
また、シンセイコーポレーションの「novas HOME+CA FREE」という製品もあります。こちらは、キャリアアグリゲーション(CA)による高速化に対応するなど高機能ですが、価格は25,000円前後でAterm HT100LNよりも高めです。
各キャリアの LTE主要周波数帯 | バンド1 (2.0GHz) | バンド3 (1.7GHz) | バンド8 (900MHz) | バンド18/26 (800MHz) | バンド19 (800MHz) |
---|---|---|---|---|---|
ドコモ | ◎ | ◯ | ― | ― | ◯ |
ソフトバンク | ◎ | ◯ | ◯ | ― | ― |
au | ◎ | ― | ― | ◎ | ― |
novas HOME+CA FREE | ◯ | × | × | × | ◯ |
novas HOME+CA FREEの対応周波数帯は上記の通りで、2GHz帯は使えるものの、プラチナバンド(800MHz帯)はドコモ回線のみ対応。キャリアアグリゲーションもドコモ回線でしか使えないので、ドコモ回線の格安SIMがおすすめと言えます。
価格と見た目、どちらからもとっつきやすそうなのはAterm HT100LN。SIMフリーのホームルーターを検討するなら、こちらが第一候補になるでしょう。
月額費用をとにかく安くできる
ここからは、SIMフリーのホームルーターのメリットを見ていきます。
一番のメリットは、何より格安SIMを使うので、月額費用を安くできることです。
たとえば光回線を引く場合、戸建てタイプだと月額費用は4,000円〜5,000円になってしまいます。一方、格安SIMを使うSIMフリーのホームルーターなら、安いプランで月額500円以下の運用が可能です。
約10分の1の月額費用でネット環境を導入できます。
なお、格安SIMでは高速データ容量を使い切ってしまうと、速度は遅くなってしまいます。ですが、あまりネットを使わないなら、むしろ常に高速の光回線は逆にもったいないと感じるかもしれません。
工事不要でネット環境を導入できる
光回線の場合、導入には回線工事が必要になります。工事に自分が立ち合うことができれば良いですが、光回線の工事に立ち合うためだけに、わざわざ仕事を休んで、遠くの実家まで駆けつけるというのも難しいと思います。
かといって、ネットを使ったことがない親に、工事の立ち合いを任せるのは不安があるはず。
SIMフリーのホームルーターなら、回線工事は不要です。ルーターを購入し、格安SIMを契約して、実家に持って行くだけで設置ができます。
Wi-Fiなどの設定が必要なので、そのまま実家に送りつけるというわけにはいきませんが、工事日などを気にせず、自分の都合に合わせて、ネット環境の導入ができるのは便利ですよね。
複数端末でネットを使える
格安SIMを使うのなら、SIMフリーのタブレットでも良いのではないかと思うかもしれません。しかし、SIMフリーのタブレットの場合、当たり前ですが1台でしか使えません。
テザリング機能を使えば、他の機器でもネットを使えるようになりますが、初心者にテザリング機能を使いこなしてもらうのはハードルが高いです。
SIMフリーのホームルーターなら、Wi-Fiの設定さえしておけば、タブレットやPC、スマホなど複数端末で同時にネットを使うことができます。
もちろん、自分が帰省したときに自身のスマホやタブレットをつなげることも可能ですね。
また、ネットワークカメラや見守りセンサーなど、これまで実家にネット環境がなくて諦めていたIoT機器なども、ホームルーターがあれば手軽に導入できるでしょう。
電源オン・オフや充電の手間が不要
「むしろSIMフリーのモバイルルーターのほうが、持ち運べるし便利じゃないか?」という意見もあるかと思います。
しかし、モバイルルーターの場合、使う前にルーターの電源を入れ、さらにタブレットの電源を入れるという2つの手間が必要になります。どちらを忘れていても使えません。また充電に関しても、ルーターとタブレットの両方の充電が必要です。
初心者にとっては、ステップが複数あるとトラブルやつまづきの原因になります。「タブレットが使えなくなった」と言われて調べてみたら、ルーターの電源を入れてなかった、あるいはルーターを充電してなかったということも起こりがちです。
つまづく箇所が多いと、「やっぱり自分にはネットは使えない」と諦めてしてしまい、結果、ネットを活用できないまま終わるというケースも多いと思います。
SIMフリーのホームルーターなら、コンセントに接続していれば電源のオン・オフは不要。また充電も必要ありません。なので、タブレットの充電と電源の入れ方さえ教えておけば良く、初心者でもつまづくことなく活用できるはずです。
SIMフリーのホームルーターのデメリット
SIMフリーのホームルーターは、格安SIMを使うので速度はそれほど出ません。光回線などと比べれば、明らかに速度は遅くなります。
格安SIMは大手キャリアのLTEネットワークを使っているので、ほぼ全国で使えるはずですが、地域によっては電波がつながりにくいという状況もあるかもしれません。
また、より低料金で高速データ容量が少ないプランを選んだ場合、ネットを使いすぎて、すぐにデータを消費してしまい、さらに速度が遅くなってしまう可能性も考えられます。
しかし、メールやチャットなどのテキストのやりとりが中心であれば、低速でも問題なく利用可能です。動画サービスなどは利用しづらいですが。
とはいえ、親がネットを活用するようになり、もっと動画を見たいということであれば、そこから光回線を検討すればいいでしょう。
まずは格安SIMを使うホームルーターで、低予算でネットを始めれば、ほとんどリスクはありません。光回線を引いたけれど、全然ネットを活用できず、工事や解約の費用が高くついてしまうほうが、よっぽどリスクが高いといえます。
ホームルーターにおすすめの格安SIMは?
月間1GBの小容量ならイオンモバイル
あまりネットを使わないのであれば、イオンモバイルがおすすめです。
理由はとにかく月額料金安いからです。イオンモバイルの料金は業界最安値クラス。高速データ容量が1GBのプランなら月額480円で、500円以下で運用できます。
さらにイオンモバイルでは、データ容量を複数枚のSIMでシェアすることも可能。自分のスマホもイオンモバイルに乗り換えて、追加のSIMをホームルーター用に使うといったことも可能です。
SIMフリーのホームルーターであれば、データ専用SIMで十分なので最低利用期間もなく、いつ解約しても違約金はかかりません。
公式サイトはこちら>> イオンモバイル
大容量ならFUJI WiFiのSIMプラン
月間20GB以上の大容量の高速通信を使いたい場合は、FUJI WiFiのSIMプランがリーズナブルです。
データ通信専用のサービスですが、月間20GBで月額2,400円、月間50GBで月額3,100円というのは格安SIMの中でも破格の安さ。長期契約の場合はさらに安くなります。
なお、FUJI WiFiのSIMプランはソフトバンク回線に対応したサービスとなるため、前述の対応周波数帯には注意。ソフトバンク回線のプラチナバンドに対応していないルーターの場合、建物環境などによっては電波がつながりにくくなる可能性があります。
公式サイトはこちら>> 【FUJI SIM】
まとめ
できることなら、離れて暮らす親にもネット使いこなしてもらいたい、メールやチャットで安否確認をこまめに取りたいというのは、年老いた親を持つ人なら、誰もが思うことではないでしょうか。
SIMフリーのホームルーターを使えば、低料金で実家にネット環境を導入して、親とメールやチャットのやりとりができるようになります。
仕事が毎日遅くなりがちで、実家に電話をかける余裕がないという人でも、メールならいつでも手軽にできますよね。また、親にビデオ通話の使い方を覚えてもらえば、年に数回しか会えない孫の顔も、毎週のように見せられるはずです。
離れて暮らす親にネットを使って欲しいなら、SIMフリーのホームルーターを検討してみてはいかがでしょうか。
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