ドコモから、データ通信料金が段階制の新プラン「ベーシックパック」の提供が開始されました。すでに同じような段階制プランを提供しているau・ソフトバンクに追随した形です。
ベーシックパックは、端的に言えば格安SIMへの対抗プラン。月額2,480円〜という安さをアピールしているので、魅力的に感じるかもしれません。
しかし、実際のところ月額2,480円で利用できる人はごくわずかです。最低料金で利用するにはいくつかの条件があり、使い方も制限されてしまいます。
この記事では、ドコモの新プランであるベーシックパックを確認しつつ、本当に格安SIM並みに安いのかを検証してみます。
また、さらに安い月額1,980円〜(イチキュッパ)を謳う、家族向けの「ベーシックシェアパック」についても見ていきます。
ドコモのベーシックパックが本当にお得なのか気になっている人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
ドコモが料金プランを刷新し、「ベーシックパック」「ベーシックシェアパック」「docomo with」の新規申込み受付は終了しました。
ドコモのベーシックパックで月額2,480円を実現するための4条件
ドコモのベーシックパックを利用して、月額2,480円におさめるための条件は複雑です。以下で概要をまとめてみます。
・月間のデータ使用量が1GB以下で
・シンプルプランで家族以外と通話しないで
・長期割引の「ずっとドコモ割プラス」を適用して
・特定機種購入によるdocomo withの割引も適用すると
→月額2,480円で利用できる
この4つの条件を組み合わせないと、月額2,480円は実現できません。
プランと割引の金額を表にまとめると次のようになります。
項目 | プラン名 | 月額料金 |
---|---|---|
基本利用料 | シンプルプラン | 980円 |
ISP料金 | spモード | 300円 |
パケット料金 | ベーシックパック (1GB以下) | 2,900円 |
割引 | docomo with | −1,500円 |
ずっとドコモ割プラス (プラチナステージ) | −200円 | |
合計 | 2,480円 |
月額2,480円という料金設定は、とりわけY!mobile(ワイモバイル)とUQモバイルというキャリアのサブブランドの格安SIMの料金(月額1,980円)を意識しているのがわかります。
そのため、以下ではサブブランドとの比較も交えながら、ベーシックパックの詳細を解説していきます。
データを使った分だけ高くなる段階制プラン
ドコモのベーシックパックは、データ使用量に応じてデータ通信料金(パケット料金)が高くなる段階制のプランです。
データ使用量 | パケット料金 | |
---|---|---|
ステップ1 | 〜 1GB | 2,900円 |
ステップ2 | 〜 3GB | 4,000円 |
ステップ3 | 〜 5GB | 5,000円 |
ステップ4 | 〜 20GB | 7,000円 |
データ使用量の上限設定はできない
注意すべきなのは、データ使用量の上限を自分では設定できないこと。「データを○ギガまでに抑えたい」という設定ができないので、データ通信を使い込んだ月は、パケット料金が最大7,000円まで膨れ上がる可能性があります。
なお「データ量到達通知サービス」に加入すれば、パケット料金が上がる前後でメールで通知することが可能です。しかし、そこで自動的にデータ通信を止めて、料金に歯止めをかけることはできません。
低速モードになるのは20GB超過時のみ
一般的な格安SIMの場合、データ容量を消費しない低速モードで利用することができますが、ドコモでは、そのような低速モードへの切り替えはできません。
ベーシックパックで最大128kbpsの低速モードになるのは上限の20GBを超過したときだけ。それ以外でデータ容量の消費を止めるには、データ通信を完全に止めるしかありません。
そして、月額2,480円にするためには、月間のデータ使用量を1GB以下に抑える必要があります。
前述の通り、使えば使うほど料金は高くなり、たとえば月間3GB使うと+1,100円の上乗せになってしまいます。
毎月2〜3GB以上のデータ量を使うような人であれば、ベーシックパックはそれほど安くなりません。
シンプルプランはかけ放題なしで通話料20円/30秒
月額2,480円で利用するためには、シンプルプランを組み合わせる必要があることにも注意すべきです。
シンプルプランは家族間での通話は無料ですが、それ以外は20円/30秒の通話料がかかります。電話をかければかけるほど、通話料がかかる従量課金制のプランであり、5分かけ放題や完全かけ放題ではありません。
なお、ベーシックパックに5分かけ放題の「カケホーダイライト」を組み合わせると基本使用料は+720円アップ、完全かけ放題の「カケホーダイ」を組み合わせた場合は+1,720円のアップとなります。
つまり、月額2,480円というのは家族以外とは全く通話しなかった場合の料金。通話を使うなら、それ以上の金額が必要です。
通話を利用するのは家族間のみで、それ以外では通話しないという人でない限り、月額2,480円を実現するのは不可能です。
docomo with機種の購入で1,500円引きだが、端末代は別
ベーシックパックを月額2,480円で利用するには、docomo withの割引も条件のひとつです。
docomo withは、特定のAndroidスマホを購入することで毎月1,500円の割引が受けられるサービス。ただし、端末代割引の「月々サポート」は適用されないので、端末代は別途考慮する必要があります。
たとえば、docomo withの対象機種であるシャープのAQUOS senseは、本体価格が28,200円。この端末代を一括で払えば月々の端末代はかかりませんが、分割払いの場合は月々1,175円×24回の端末代が必要です。
つまり仮に、すべての条件を満たして月額2,480円になったとしても、実際には端末代の1,175円を加えた3,655円が月々の支払い額になるということです。
ちなみに、docomo withでは端末代の支払いが終わった3年目以降も、機種変更をしない限り毎月1,500円の割引が受けられるというのが目玉。そのため3年目以降であれば、月額2,480円で使うのも不可能ではありません。
しかし、docomo withの対象機種は低価格帯のミドルレンジ端末が中心であり、4年や5年も使い続けられるかは微妙なところです。他のスマホに機種変更すれば、再び端末代がかかることになります。
まとめると、ベーシックパックの月額2,480円というのは、月々の端末代を考慮していない金額。docomo with対象機種を一括払いで購入するか、2年間の分割払いが完了した場合でなければ、端末代が別途必要です。
参考>> docomo withとUQモバイルを比較して解説
長期割引は受けるのが難しくメリットが小さい
月額2,480円で利用するためには、長期割引の「ずっとドコモ割プラス」の適用も必要です。
しかし、データ使用量 1GB以下で割引を受けられるのは、継続利用期間が「15年以上」のプラチナステージのみ。割引額もたった200円と少額となっています。
なお、プラチナステージになるためには、継続利用期間を重ねる以外にもう一つ方法があります。
具体的には、dポイントを半年間で10,000ポイント貯めるとプラチナステージに上がることが可能。ですが、仮にdポイントの還元率が一律1%だとすると、毎月17万円近くを支払わなければ半年間で10,000ポイントを貯めることは不可能です。
まとめると、長期割引の対象のプラチナステージになるのは条件が難しく、仮にプラチナステージになれたとしても、月々わずか200円の割引とメリットは薄いです。
ベーシックパックよりもサブブランドがお得
ドコモのベーシックパックと、キャリアのサブブランドであるワイモバイル、UQモバイルを比較すると、以下のようになります。
ドコモ | Y!mobile | UQモバイル | |
---|---|---|---|
月額料金 | 2,480円 | 1,980円 (2年目以降 2,980円) | 1,980円 (2年目以降 2,980円) |
回線 | ドコモ | ソフトバンク | au |
データ | 使用量1GB以下の場合 | 最大2GB(2年間) | 最大2GB(2年間) |
音声通話 | 20円/30秒、家族間無料 | 10分かけ放題 | 5分かけ放題/無料通話60分 |
端末代 | 別途必要 | 月々0円(一部機種) | 月々0円(一部機種) |
結論としては、ドコモのベーシックパックを選ぶよりも、ワイモバイルやUQモバイルといったキャリアのサブブランドを選んだほうが良いです。
通信速度は大手キャリアとほとんど変わらず、月々の料金が低くスマホ本体も安く買えるのがサブブランドの特徴。
割引によって月々の端末代が0円になるスマホを買えば、月額1,980円だけで利用できます。ドコモのように、月額2,480円のほかに端末代がかかることはありません。
また、ワイモバイルやUQモバイルはパケット料金が段階制ではないので、プランのデータ容量を使い切れば通信速度が遅くなるだけ。高速通信を使い過ぎて、勝手に料金が高額になることはありません。
さらに、ワイモバイルなら10分かけ放題、UQモバイルなら5分かけ放題または無料通話が付いているので、通話料が高額になってしまう心配も不要です。
そもそも、ドコモのベーシックパックで月額2,480円を実現すること自体が難しいですが、仮に月額2,480円で利用できたとしても、端末代や通話料込みで月額1,980円のサブブランドを選んだほうが良いでしょう。
家族向けのベーシックシェアパックも注意点は同じ
ドコモでは、家族向けのベーシックシェアパックも提供しています。
ベーシックシェアパックは家族3人で利用することで、1人当たり月額1,980円で使えるというのが謳い文句。
しかし、ベーシックシェアパックも1人向けのベーシックパックとほとんど同じ注意点があります。
項目 | プラン名 | 月額料金 |
---|---|---|
基本利用料 | シンプルプラン | 980円×3 |
ISP料金 | spモード | 300円×3 |
パケット料金 | ベーシックシェアパック (5GB以下) | 6,500円 |
シェアオプション | 500円×2 | |
割引 | docomo with | -1,500円×3 |
ずっとドコモ割プラス (プラチナステージ) | -900円 | |
合計 | 5,940円 (1人当たり1,980円) |
具体的には、パケット料金が段階制なのでデータ通信を使い過ぎると料金が高額になるほか、シンプルプランを組み合わせるなら家族間の通話しか無料にならないことです。
また、docomo withでは一部のAndroidスマホしか選べず、端末代が別途必要になることにも注意すべきでしょう。
データ使用量 | パケット料金 | |
---|---|---|
ステップ1 | 〜 5GB | 6,500円 |
ステップ2 | 〜 10GB | 9,000円 |
ステップ3 | 〜 15GB | 12,000円 |
ステップ4 | 〜 30GB | 15,000円 |
家族3人でデータ使用量を5GBに抑える場合、1人当たり1.67GBとなるので、ベーシックパックよりも使い勝手は多少良くなります。ですが、1人当たり2GB、合計6GBを使ってしまうと、+2,500円(1人当たり833円)の上乗せになります。
また、家族でデータをシェアするため、子供などの家族の1人がデータ通信を使い過ぎると、それだけで全体の料金が高くなってしまうのもデメリットです。
サブブランドは家族で使ってもお得
家族で同じ会社のスマホを使って料金を安くしたいなら、ドコモのベーシックシェアパックよりもワイモバイルやUQモバイルの家族割を利用することをおすすめします。
ワイモバイルやUQモバイルの家族割では、2人目以降が月々500円引き。割引自体はシンプルですが、月額1,480円で最大2GBの高速データ通信が使えるのが特徴です。
5分かけ放題などが付き、端末代込みでこの料金なので、ベーシックシェアパックと比べても断然にお得と言えます。
まとめ
ベーシックパックなら月額2,480円、ベーシックシェアパックなら1人当たり月額1,980円で使えるという触れ込みのドコモの新プランですが、実際にはその最低料金で利用するのはほぼ無理です。
なぜなら、データ使用量が1GB以下、家族間以外では通話しない、15年以上ドコモを使い続けているということを全て満たしていないと、最低料金にはならないからです。
さらに、docomo with対象のスマホを一括払いで購入しないのであれば、分割払いの端末代が別途必要になります。
パケット料金が段階制で、データ通信を使えば使うほど料金が高額になってしまうことにも注意。
もっとも、データ使用量が1GB以下に収まり、家族以外とは通話しないのだとすれば、そもそもスマホを持つ必要があるのかという疑問も感じられます。
結論としては、ドコモのベーシックパックとベーシックシェアパックはそれほど安くありません。端末代を含めたスマホ料金の節約を優先したいのであれば、サブブランドのワイモバイルやUQモバイルを選んだほうがいいです。
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